たんまい

2021年7月24日 日常
 たんまい

 私は文房具を集めるのが好きだ。いつから好きになったのかは憶えていなし、収集癖がついたのは恐らく就職して、自分で収入を得られるようになった頃からだったように思う。私は小学生の頃から絵を描くのが好きで、逆に文字を書くのはとにかく嫌いだった。筆圧が強いのと、ぎゅーっ、と鉛筆や、シャープペンシルを握ってしまうので、いつも授業の書き取りが遅れてしまうからだ。

 その点、絵なら自由に、自分の好きなだけ時間をかけてたっぷりと描けるので、よく姉(私には二つ歳上の姉がいる)のドクターグリップというシャープペンシルを借りて飽きるまで絵を描いていた。

 中学に上がった頃、ようやくお小遣いが増えた(当時、小学生だった頃は週に三百円だった)ので、文房具屋さんに行って透明で赤い、少し重たい0.5mmの少し重たいシャープペンシルを買ったことをよく憶えている。もうあのシャープペンシルは手元にないのだけれど、冒頭で言ったことと少し違うけれど、もしかするとこの頃から文房具を集めるのが(正確にはまだ収集癖にはなっていなかったので最低限の【お気に入り】を買っていた)好きだったのかもしれない。

 話戻って。

 私は文房具の中でもいっとう好きなのはシャープペンシルとサインペンだ。特にお気に入りはroaringとSTAEDLER。前者はシャープペンシルが。後者はサインペンがお気に入りで、ついつい文房具店に立ち寄ると「新商品は出ていないかな?」と期待してしまう。他にもカラフルな水性サインペンのセットなどは衝動買いしてしまいそうになるし、お気に入りの文房具たちを仕舞っておけるデザインが素敵なペンケースなどに出会うとついつい買ってしまう。なので私の部屋にはそんなに必要なの?と言われかねないほどの文房具で溢れている。ちなみにrottingとSTAEDLERが製図などに使用されることで有名なブランドであることは、地元の文房具店でアルバイトをした頃に初めて知った。

 そして「たんまい」である。

 よく文房具店のシャープペンシルや、ボールペン、サインペンのコーナーには「試し書き」用の小さな紙の束があるのを見たことはないだろうか。ぐにゃぐにゃした線だったり、ちょとした絵だったり、あるいは普通に「あ」とか「おはよう」とか書かれたアレである。私も気になった文房具があると、書き味はどうだろうかと試し書きするのだけれど、なぜか毎回、

「たんまい」
 あるいは、
「たんまい〜〜(なにかしらのことば)」
 と書いてしまう。

 変なもので、普通に線を引いてみたり、当たり前の言葉(アイウエオとかありがとうとか)を書けばいいものをなぜか、たんまい、なのである。これがずっと不思議でならない。たんまいなんて言葉、私は知らないし、聞いたこともない。
 それなのに「たんまい」である。ものは試しと思って調べてみたのだけれど、炭埋であったり、反米であったり、段米といった言葉が出てくる。もちろん意味も知らなかったし、そんな言葉があるなんていままで思ってもいなかったので少し驚いた。

 本で読んだわけでもなく、誰かに聞いたわけでも、ましてやテレビで流し聴きした言葉でもないたんんまい。なので文房具店で試し書きをするときは、この頃は線を引くだけにしている。だって、たんまいなんて言葉、を書いているところ誰かに見られたら恥ずかしい上に、店員さんには絶対バレているだろうから。

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